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自然栽培に適した場所

お借りした土地 草刈り前の様子

2023年6月。
不思議なご縁で、土地を使わせていただけることになりました。
そこは、もともと別荘地として販売されていた宅地ではないか?と思われる場所。

本心を言うと、この場所を将来購入させていただきたい気持ちはマンマンなのですが、まことに恥ずかしながら先立つものがなくて。
今の段階ではまだ購入できません。

にも関わらず、有難いことにオーナーさんのご厚意で、「他に購入希望の方が現れるまで」という約束で使わせていただけることになりました。

この土地は、私にとっては自然栽培の畑として理想的な場所。
その理由は主に下記の5つ。それぞれ詳しく説明していきます。

1.土地の周囲がコンクリートで固められていない

昨年、2022年の11月にドキュメンタリー映画「杜人(もりびと)」を観た。
映画では、自然環境の再生に力を注いでいる造園家・矢野智徳さんにスポットをあてて、活動を紹介している。
矢野さんは、土の中の空気や水の流れが健全になるように、斜面転換点に空気・水の通り道をつくったり「風の草刈り」といわれる方法で草を刈ったり、様々な工夫をされている。

斜面や道路をコンクリートなどで固めてしまうと、土の中の空気・水の循環が妨げられ、植物が元気に育たなくなる。さらには、土砂崩れなどの災害を引き起こすことにも繋がるらしい。
お借りしたこの場所は、法面が土のまま。
そして土地への侵入路も舗装されていない。
宅地として販売されていたのに、畑にとってこんな好条件の場所があるなんて!という場所なのである。

因みに映画「杜人」ですが、もしも自主上映会などがお近くで開催されているなら、ぜひご覧になることをお勧めします。
矢野智徳さんのご著書『「大地の再生」実践マニュアル』もお勧めです。

2.周りに雑木が生えている

雑木が畑の近くに生えていると、落ち葉を集めることができます。
昔は堆肥をあげないと作物が育たないと考えていた私ですが、いまは原則無肥料栽培派。
ただし、落ち葉を埋めてその上に土を被せて作物を植える「床堆肥」という方法だけは、作物がなかなか育たない場合に活用しようと思っています。

ところで植生の違いで区別すると、畑(特に草と共生する自然栽培の畑)は「草地」に分類されると思う。
「草地」だけの環境と比べて、「草地+樹木」という環境の方が、その場所を利用する菌や昆虫・野鳥の種類は増えるはず。そうすればその分、生息する生き物の生態系が多様になるだろう。
そして生態系が豊かで複雑になればなるほど、特定の種類の生物が爆発的に増える(例えば病害虫が大発生する)ことも起こりにくくなると考えています。

あとはオマケですが、木が生えていると夏の暑い時に木陰で休憩できるのがありがたい。ちょっとしたことだけれど、農作業しているとき木陰の有る無しは結構大きな違い。

3.高台にあるので水没の危険がなさそう

これはもう、そのままですね。(笑)
少し補足しておくと、土地によっては道路より低くなっているとか、斜面の下にあるために常に水分が多いという場所もありますね。そういう所だと、作れる作物が限られてくるんじゃないかな〜と思います。
特に最近では、集中豪雨とか線状降水帯とかってありますし。水はけが良いに越したことはないかと。

たまたまこの土地を見せていただいたのが大雨が降った翌日でした。
同じ町の中でも、他の土地ではちょろちょろと敷地内を水が流れていた。
けれども、こちらの場所では全くそういうこともなく水も溜まっていなかったので、いい場所だなぁと思ったわけです。

雨の後の水の溜まり具合を見ておくとか、いろんな場所を見比べてみるって、大事なことですね。

4.農地や住宅が隣接していない

自然栽培をしようと思った時に、私にとってこれはすごく気になることの1つでした。
周りが農地に囲まれていると、農薬・化学肥料の影響を受ける可能性も考えられる。
だけど実はそれ以上に、こちらが草を生やしていたり虫を放置していたりすると、周りの方から非常に迷惑がられるに違いない。
そうなったら、たぶんその場所で自然栽培を続けていくのは難しいんじゃないだろうか。

日本よりも自然環境が過酷で土壌の流亡が問題になっているような国では、少しずつ不耕起栽培という考え方も広まりつつあるようだけど。まだまだ、日本で理解してもらうのは難しいだろうなと感じています。

5.もともと農地ではなかった場所

今回お借りできた土地は、山の中にあるのに農地ではなく、ラッキーなことに宅地として開発され、販売されていた土地。
さらに、たまたま地元の方にお会いしたのでお聞きしたら、宅地の前は松林だったとのこと。

ということは、長期にわたって農薬や肥料・除草剤などが使われていないと考えていいよね?
それらが使われていなければ、植物が根を通じて菌根菌と共生できる環境が保たれているはず。
そして無肥料栽培がうまくいく大前提は、土のなかの菌(特に菌根菌)がちゃんと生きていることなんだろうと思うのです。

草刈り後 2023年8月

ここまで良い点ばかりを書いてきましたけれども、もちろん欠点もゼロではありません。
イノシシが結構生息しているようですし、草が激しく生い茂っているから畝作りも厳しそう。
だけど上に挙げた5つのポイントは、それらの欠点を補ってなお余りある。
そう思うんですよね〜。

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