女ゼンマイと男ゼンマイ
ゼンマイには「女ゼンマイ」と「男ゼンマイ」という区別があることを、この歳になるまで知らずにいました。
3月26日
そろそろ畑の奥の桜が咲いたんじゃなかろうか。
気になる。晴れるまで待っていられない。
雨の降る中を、泥で滑りやすくなった道に気をつけながら、斜面を下って畑へ向かう。
果たして、桜は咲いていた。思いの外、咲いている。
嬉しくなって写真に撮り、その後も暫く濡れながら眺めていた。
ひとしきり眺めて満足し帰ろうとしたら、目の端に異様な形のものが映る。
それがあるのは、この春に竹やつる植物を整理した雑木の斜面。
ん?
近寄って見てみたら、ゼンマイだった。
思わず「おぉ〜」と、感嘆の声が洩れる。
何だろう、この独特なフォルムと迫力。どこか昆虫をイメージさせるような、植物らしからぬ姿。
アク抜きなどが面倒なイメージがあるので、食べたいという気持ちはさほど起こらない。
けれど、気になったのでゼンマイについて調べてみたら、「女ゼンマイ」・「男ゼンマイ」という呼び分けがされていることを知った。
普通、食べるのは栄養葉である女ゼンマイの方。
上の写真は男ゼンマイで、こちらは胞子葉。胞子葉は固くてあまり美味しくないそうだ。見た目も、あまり美味しそうではないよね。
見分け方は、女ゼンマイが扁平な感じなのに対して、男ゼンマイは丸っこい形。
男ゼンマイだけしか見ていない段階では、見分けられる自信がなかったけれど、後日女ゼンマイを見て簡単に区別できると感じた。
因みに、女ゼンマイと男ゼンマイでは、生えてくるタイミングも別々。
先に男ゼンマイが出てきて、暫くしてから女ゼンマイが生えてくるらしい。
ホントかな?
確かめるべく、畑へ行く度にゼンマイを観察してみた。
4月10日
女ゼンマイを見つけた。
ただし、既に葉が開いて食べ頃を過ぎた姿になっている。
もともと食用にするつもりではなかったから、構わないけれど。
因みに、栄養葉というのは光合成のための葉っぱで、胞子葉はその名の通り胞子をつけるための葉だそうだ。
「女ゼンマイ」は栄養葉だから、全部採ってしまうとゼンマイが弱ってしまう。
タラノキもそうだけど、「見つけたタラの芽を全部採集してしまう人が増えたから、タラノキが枯れて無くなってしまった。昔は当たり前のように生えていたのに。」そんな話を、以前農家さんがしてくれた。
自然の恵みをいただくときは、ちゃんと後先のことを考えたい。
ところで胞子葉である男ゼンマイですが、4月10日には、こんな姿になっておりました。
この胞子たちが飛んで、来春にはゼンマイが増えているかも知れない。
この迫力満点な姿を来年もまた見たいな。